CMSとしてのMovableTypeとWordPress

この記事は古い情報です。MovableTypeとWordPressについての最新の見解を改めて記事にしていますので、そちらを合わせてご覧下さい。

最近、通常のウェブサイトの制作業務でも、更新情報の配信やコンテンツの編集などでCMSを利用する機会が非常に多くなってきました。

弊社としては基本的にはMovableTypeを利用してウェブサイトを作成しているのですが、CMSとしてはほかにも本ブログにも利用しているWordPressや、既存サイトを簡単にCMS化できるSoyCMS等、いろいろなアプリケーションも登場しています。

なぜ弊社としてはMovableTypeをメインのCMSとして利用しているかというと、下記のような理由によるものです。(あくまで私的なものなので、これ以外の意見があれば是非教えてください)

  1. ウェブサイトとブログという概念で複数のブログを1つの管理画面で管理できる
  2. 日本語で書かれた多様なドキュメントとプラグインが存在する
  3. 静的生成のため他のシステムと連携が取りやすい
  4. 制作実績が多い

ウェブサイトとブログという概念で複数のブログを1つの管理画面で管理できる

これは管理上、非常に便利な機能の1つです。

WordPressにもページとブログ記事という概念で同様のことができましたが、ページもブログ記事も1つのブログ内にごちゃ混ぜに存在していたため、カテゴリやタグなどの機能で分類分けはできたものの、規模が大きなサイトになるほどページやブログ記事の管理が煩雑になるという欠点がありました。

MovableTypeはバージョン4になって、マルチブログという機能がサポートされ、複数のブログを1つのサイトとして管理ができるようになりました。

そのため、たとえば更新情報を1つのブログとしてまとめ、更新情報は更新情報で記事をカテゴリー分けするといった事が可能になり、コンテンツの管理が非常にわかりやすいのです。

MovableType5になってからは、ウェブサイトという概念が追加され、ブログはウェブサイトにぶら下がる形で管理をすることが可能になりました。

これはMovableType4のマルチブログの機能を改善したもので、MovableType4では「ウェブページを管理するブログ」と「ニュースだけのブログ」といった2つのブログは並列に扱われていましたが、これに上下関係を設け、「ウェブページを管理するブログ」の下に「ニュースだけのブログ」がぶら下がるといった構造を表現することが可能になり、さらに管理がしやすくなっています。

日本語で書かれた豊富なドキュメントとプラグインが存在する

これは非常に大きい部分で、MovableTypeは出始めから日本語で書かれたドキュメントが多数掲載されていました。

英語を読めないなら勉強しろ、との声が聞こえてきそうですが、カスタマイズにしろプラグインの導入にしろ、日本語で説明・作成されたものが多いというのは導入のハードルが低く、気軽に導入できます。

また、プラグインも日本人の開発者の方がとても多く、意見のフィードバックや取り扱いのマニュアルなどがそろっていることも、メリットの1つだと思います。

静的生成のため他のシステムと連携させやすい

これは静的生成を利用しているMovableTypeならではのメリットだともいえます。

たとえば弊社ではシステムの案件にCakePHPを利用するのですが、コンテンツの管理にMovableTypeを利用し、その生成したファイルをCakePHPが処理して表示するといった連携をよく行います。

WordPressでもCakePHPと連携する方法などを開発している方もいらっしゃいますが、フレームワークごとの機能がぶつかってしまったり、導入に際してフレームワークのコアに手を入れなくてはならなかったり、少々面倒な部分も多いようです。

MovableTypeは生成するファイルの拡張子や内容などは全て自由にカスタマイズすることができるため、CakePHPのviewファイルとしてテンプレートを生成し、CakePHPをフロントエンドとして機能させれば、非常に保守性の高いシステムを構築することが可能です。

弊社での導入実績が多い

1,2,3の理由もとても大きいのですが、正直なところ4の理由がやはり一番大きいというのは否めません。他のCMSを追求する学習コストを考えると、やはり制作実績の多いMovableTypeを取ってしまいたくなるのも事実です(笑)

MovableTypeのデメリット

上記いろいろとMovableTypeのメリットを紹介してきましたが、デメリットもいくつもあります。

  • 静的生成のため、再構築処理が必要(非常に時間がかかり、手間)
  • プラグインが一元管理されておらず、探すのに手間がかかる(検索機能等は無い)
  • 動作が重い
  • テンプレートタグだけで全ての機能を実現させようとすると非常に面倒(プラグインが必須)
  • ライセンス費用がかかる(1サーバー\50,000~)

それでもやっぱりMovableTypeをCMSに進める理由

動作の重さやライセンス費用を考えると、ブログを構築するだけならばWordPressなどを利用した方が導入のハードルも低く快適なため、良い選択となるかもしれません。ただ、ある程度の規模のサイトを構築しようとするならば、管理面やシステムとの連携を考えると、MovableTypeを選んだ方が良いのではないかと思います。

ほかにもCMSとして優れたアプリケーションがあると思いますが、機能面や現時点での導入実績(弊社以外も含め)の数やドキュメントの数、サポートを考えると、弊社ではMovableTypeを一番の選択肢として考えています。